KY

 
ビジネス上のプレゼンテーションをする時には、必ずオーディエンス分析をします。聞き手はどこに興味を持っているか、聞き手が知らない情報は何か、聞き手が必要な情報は何か、事前に検討して、にマッチしたコンテンツを提供するのは当然のことです。

実際のプレゼンテーションで考慮すべきはそんな基礎的なことだけではありません。聞き手が今おかれている精神的な状況もチェックします。たとえば、絶対に成功させなければならないプロジェクトが佳境に入っている状況なのか、それとも比較的のんびりしている状況なのかによって話す内容は全く変わります。

オーディエンスがプレゼンターに対して何を期待しているのかを考えるのも大切です。唐突に期待されている役割を超える提案をされても、聞いている方は困ってしまいます。新入社員が経営者に対して経営を大上段に語っても失笑を受けるだけです。目新しい提案をしたい時も、自分の期待されている役割を十分に果たした上で、その役割との関係において話さなければ、聞いてはくれません。人は誰でも自分の聞きたいことにしか耳を貸さないのです。

話す順序、言葉遣い、全てオーディエンスによって微妙に調整します。同じオーディエンスでも日によって変化します。プレゼンを始めてからガラッと方向転換することも稀ではありません。無茶苦茶時間をかけて準備した台本を瞬間の判断で放棄することすらあります。

人に情報を伝えるのは簡単なことではありません。人はだれでも自分の興味のあることしか受け取りません。何かを伝えようとしたら、その相手との間合いを極めて精緻に調整しなければなりません。(私の学んでいる気功の先生は、「チューニング」という言葉を使われます)

それができない人は、ビジネスの世界ではKYです。信用されません。結構ハードル高いです。私の経験ではビジネスマンの9割ぐらいはKYです。素晴らしく実務能力が高くても、KYが管理職になるのはまれです。

「こんなに自分は仕事をしているのに上司はわかってくれない」
「こんな重要な情報を伝えているのにまじめに考慮しないのは職務怠慢だ」

などなど、KYは不満を持つのですがKYはKYであるが故に、それだけでアウトなのです。

しゃべれば聞いてくれると思うのは子供の考えです。これは年齢とは相関しませんね。業務経験の浅い若手ビジネスマンでも情報伝達がうまい人はいるし、定年間近のベテランでも蹴っ飛ばしたくなるようなKYはざらにいます。

気功的にいえば、情報伝達がうまい人はオーディエンスの持つ情報空間まで意識しています。極めて深いレベルで、「その人の身になって考える」ことができています。だからその人にマッチした情報を準備できるし、プレゼンの途中ですら、かすかな表情の変化を読み取って鮮やかに方向転換をやってのけます。KYにはそれが見えない。

KYは、情報空間が全く読めていないのです。抽象度が低いといってもいい。どんなに地道に、かつ誠実に仕事をしても報われることは(ほとんど)ありません。残念で残酷なことではありますが、これは自然なことです。受け入れるしかありません。

「日本人は空気を読んでばかりで自分の意見をしゃべらない。もっと自由に発言するべき」などという言説がありますが、バカバカしい限りです。そんなことを真に受けてるのはKYの人だけでしょう。

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もっともっと空気を読むべきです。話すコンテンツよりも空気を読んでいることの方が大切であり、お互いの幸せにつながるとさえ私は思っています。(キチンとした気功を学べばバリバリ空気が読めるようになりますよ W )

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