言葉として外に発する(1)
買ったもの、受け取ったサービスが自分の思った通りのものでなかった場合、私はそれが自分の確認不足であるのか、それとも売り手に責任があるのかを冷静に確認するようにしています。後者であっても、私はキャンセルしたり返金を求めたりはしません。しかし、クレームだけは入れるようにしています(いやな客かもしれません)。決して怒ることなく、淡々と相手の非を指摘します。
昔は泣き寝入りをしていました。最近は泣き寝入りは良くないことだと思っています。
言葉に出すことが重要です。言葉に出すことで初めて、自分の正当性が認められます。言葉に出さなければ、『無理が通れば道理が引っ込む』の言葉通り、無理を通した側の勝ちです。黙っていた人は、存在を失います。
宇宙は、発話された言葉で構成されています。心の中に秘めたる言葉は、宇宙になんの影響も与えません。発話することで、その言葉によって宇宙が変形します。あなたがプレイヤーになります。
怒ることが必要なのではありません。特定の人を論破したり、説得したりすることも必ずしも必要ではありません。ただ、宇宙にあなたの言葉を書き込むことが重要なのです。それには、発話することです。
今日私は愛車をディーラーに持っていき、軽くこすったバンパーをレタッチすることと、少し曇ったフロントライトの表面を研磨する仕事を依頼しました。
仕事が終わって見ると、レタッチは子供の塗り絵のような不細工なものでした。フロントライトの研磨については、『すぐにこのまま長距離走っても大丈夫か?』と確認し、大丈夫だというので高速を二区間ほど走ってみると、研磨の際使用した白い薬液がボディーまで盛大に飛び散っていました。
私はやる気のないディーラーに依頼した自分の失敗を確認しつつ、そのディーラーにはしっかりとクレームを入れました。「これはクレームです」と言った上で静かに相手の非を指摘しました。
それだけのことで、なにも補償は求めません。二度と同じディーラーに近寄らないだけのことです。しかし発話された私の言葉は、確実に世界を書き換えています。関係する人たちに何等かの影響を与え続けます。
クレームが担当者の上司に伝わってサービスが改善する。といったレベルのことを言っているのではありません。私の言葉は全ての関係者の存在自体を揺るがせ、今後の彼らの変化に対してに何等かの影響を与えているのです。これは気功師の言葉に限ったことではなく、誰が発した言葉であろうと同じです。
発話された言葉が宇宙を変える。という感覚は、私が学んでいるところの気功の感覚です。宇宙を構成するのは言葉であり、言葉は言葉と出会い、相互作用をおよぼします。言葉を発することは(発声であろうと筆記であろうと)、宇宙に主体的に関わり、影響を及ぼす力強い方法の一つです。(気功はそれを意識的に、パワーアップした形で実施します)
クレームも、自分のゴールも、全て言葉として発するべきものです。